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2014 国連派遣生徒 / 活動報告

2014年05月04日

※このレポートは,引率の広島女学院中高・高見知伸先生からの報告を本校用に改訂してお届けしています。

9、Goodbye,New York!/New York Report 9

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いよいよ帰国の途につきます。今、JFK国際空港にいます。少し時間がありますので、参加生徒ひとりひとりの現在の思いを手短にお伝えします。本人の承諾を得たうえで、名前を公開していますので、ご了解ください。
また、今回の派遣にあたり、平和首長会議、広島市、ひろしま平和文化センター、現地の通訳さん、現地の広島市のスタッフの方々など、本当に多くの方々にお世話になりました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

沖縄尚学 與那覇さん・・・日本国内の問題に目を向けてきたけど、ほかの国にも様々な問題があると痛感しました。これからの世界が平和になるために国内の問題だけでなく、海外にも目を向け、自分にできることをしていきたいです。

沖縄尚学 金城さん・・・偏った方向から見ることなく、様々な角度で物を見るように心がけたい。また、ひとつの事柄にもいろんな意見があるので、すべての意見を理解しつつ、良いところを取り上げて、より良い方向につなげていくことが大切だと学びました。
広島女学院 今井さん・・・他国の視点から原爆や平和についての意見を聞くことができ、ヒロシマがまだ世界の注目を集め続けていることを実感しました。特にこれからの私たち次世代の動きに注目してくれているので、日本に帰ってからも今回の経験を活かし、平和活動に携わっていきたい。

広島女学院 久保田さん・・・今回、被爆親鸞像を訪ねてみて、祖父の願いが世代を超えてかなえることができてうれしかったです。親鸞像を見ることで、二度と過ちを繰り返してはいけないという自分たちの活動の原点を再確認できてよかった。NY訪問を通して、アメリカの高校生はじめ、様々な人と知り合うことができ、それを帰国してからもさらに広げていきたいと思います。
盈進 小川さん・・・被爆者の平均年齢が高くなり、次世代の私たちは彼らの思いをさらに背負って発信していかなければならないと実感しました。学校訪問を通して、人種や年齢、国籍関係なく、みんなが仲良くして、お互いを認め合ったら、本当の平和が実現できると思います。将来は教員になって、子どもたちにみんなが仲良くできる社会について伝えていきたいです。
盈進 箱田さん・・・今回は世界の人の意見に触れるよい機会でした。私たち盈進生は加藤貴光さん(阪神淡路大震災で亡くなった大学生で、国連で働きたいという夢を持ち続けた青年です)の思いを一緒に携えてきました。また、多くの方々の支えがあって今回の学びが実現しました。これからも自分にできることを精いっぱいやっていきたいと思います。

修道 立上君・・・ひとつの物事に対しての見方が想像した以上に違っていたので、これからはもっと柔軟な思考ができるように努力したいです。原爆に対する理解はあるようで、それほどでもないと実感したので、まずは自分自身が知識を増やし、様々な機会を最大限に利用できるようにがんばりたいと思います。

修道 安部君・・・今回国連に行ってみて、いろんな人に会いました。核兵器廃絶という目標は同じだけど、それぞれ考え方が異なり、それを聞くことでさらに関心が深まりました。他の人とのコミュニケーションが大切だということも痛感しました。今後も核兵器廃絶への努力も続けていきたいし、もっと様々な人からいろんな話を聞きたいと思いました。

最後に集合写真です! See you in Japan!

8、9.11メモリアルへ/New York Report 8

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メトロポリタン美術館。それは大きな美術館で、一日あっても回りきるのは難しいところです。それなのに与えられた時間は2時間。なかにはランチもとらずに回った生徒もいました。とにかくありとあらゆる展示品があり、また人の数も尋常ではないほどあふれかえっていました。人を見に来たのか、美術品を見に来たのかわからないほどです。
美術館の後は、日本でも女子高生に大人気のアメリカのドラマ「ゴシップ・ガール」の舞台となったアッパーイーストサイドのマディソン街を少し歩き、ドラマでも出てきたコーヒーショップで飲み物を買い、気分はすっかり登場人物の女子高校生でした。

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その後、地下鉄で移動して、9.11メモリアルへ。まだ様々な工事が行われており、ここで何千人もの方々が亡くなったと思うと、胸が締め付けられるような思いでした。広島出身で、テロの犠牲となった方のお名前の前で黙とうを捧げました。

7、被爆親鸞像に出合う/New York Report 7

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昨日は記録的な大雨+低温(10度)に見舞われたニューヨークでしたが、本日(5月1日)は一転して夏の暑さ。最高気温は25度でした!
今回は8人の高校生に「一人1か所、行ってみたいところをピックアップするように」と訪問前に宿題を出しておきました。(笑) 以下が宿題の結果です。
・タイムズスクエア ・エンパイア・ステイト・ビル ・メトロポリタン美術館 ・有名な大学。これに引率者の独断で9.11メモリアルを入れました。
マンハッタンのアッパー・ウエストサイドから出発し、まずは「有名な大学」であるコロンビア大学を見学。ちょうど卒業式の直前で、その準備がなされているところでした。写真は地下鉄の駅のものです。アメリカのなかで最も古い大学の一つで、建築物は壮大で圧巻でした。ピュリッツァー賞の授与式が行われるコロンビアのシンボル的なホールは天井が高く、生徒たちは一様に感動したようでした。
次に訪れたのは同じアッパー・ウエストサイドの閑静な住宅街にあるThe New York Buddhist Church、本願寺です。ここには広島で被爆した親鸞像があります。本校高3の久保田さんのおじい様が「ニューヨークに行くのならぜひ見てきてほしい」と孫娘に託されたもので、久保田さんは「本願寺」を選んだのでした。

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この親鸞像はもともと三滝にあり、被爆したものです。それをある資産家の日本人が私財を投じ、「世界平和のために、戦争を繰り返さないために」との願いのもと、1950年代にニューヨークの本願寺に贈りました。以来、この住宅街に静かに佇み、浄土真宗では大切な方角である西を向いています。袈裟の下のほうがオレンジ色に変色しているのですが、これは放射能の影響で、実際にガイガーカウンターでも未だに微量の放射能が計測されるとのことでした。この本願寺の前住職の御嬢さんであるHoshina Sekiさんより、親鸞像にまつわる様々なエピソード、移送にあたっての当時の関係者の思いがつづられている手紙をお聞きし、まさかニューヨークで被爆した像にめぐり会えると思っていなかった生徒たちは感慨深い様子でお話を聞いていました。
この様子はNHK広島支局に取り上げられ、来週水曜日(7日)夕方に放映予定とのことです。またこのHPでお知らせします。

6、NYの小学生との交流/New York Report 6

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4月30日の午後、アンゲラ・ケインさんにお会いしたあと、国連学校(United Nations International School)を訪問しました。この学校には国連職員や政府関係の子弟が多く通っていることや30年以上IBスクールとして世界のIBの手本となっていることで知られています。
放課後の時間を利用して、小1-小4の子供たちと交流しました。まず、広島の原爆に関する短いプレゼンテーションをしたのですが、質疑応答では子供ならでは視点から質問が相次ぎました。
「どうして爆弾を落としたの? 話し合いで解決すればいいのに。」「実験としての原爆投下っていう説があるけど、それなら敵のソ連に落とさなかったのはなぜ?」
素朴な質問ばかりですが、かなり核心をつくものばかりで、高校生はタジタジ・・・。

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次に、広島女学院の卒業生の森本順子さん制作の絵本・”My Hiroshima”を朗読したのですが、その前に絵本について簡単に説明していた時のことでした。「美しくも悲しい絵をしっかり見てね」と言うと、「戦争の話なのに、どうして美しいの?」
子どもの「なぜ?」は、新たな視点を与えてくれる大切な質問です。真摯に向き合い、後になってでも答えられるようにしたいものです。
次に、千羽鶴をリサイクルして作った折紙を使って折り鶴を一緒に作りました。小学校の低学年の児童にはやや難しかったですが、なんとか完成させました。
その他、手裏剣、風船などを作っては大歓声が上がっていました。子どもたちも、外国から来たお兄さんやお姉さんと楽しみながら折紙から作ることができました。
このように、にこやかに協力しながら作業をする経験を積み重ねることが、実は平和構築につながっていくのだろうと思います。

5、国連軍縮部のトップにメッセージを伝える!/
  New York Report 5

公式的な行事は本日5月1日が最終日。午後一番に国連軍縮代表部の上級代表であるアンゲラ・ケインさんにお会いすることができました。直前まで 事務総長とのミーティングで、準備委員会の期間中、かなりハードなスケジュールを送られているにも拘らず、今回は広島女学院中高の卒業生で国連職員の荊尾(かたらお) 遥さんの計らいで面会が実現しました。
広島女学院高3の久保田さんがこれまでの取り組みの内容や署名活動に込めてきた思いをお伝えし、先月、街頭署名で集めた約2000筆の署名を手渡しまし た。また、ニューヨークに来てから集めた100筆もお渡ししたところ、とても驚かれて、「ニューヨークでもストリートで活動をしたの?」と聞かれましたが、月曜日に訪問したスタイベサント高校で多くの高校生が署名してくれたこと、今後も協力してくれることなどを説明すると、「それはすばらしい!とにかく若い世代がこうやって横のつながりをどんどん広げていくことこそが核廃絶につながるのよ。これからもしっかりがんばって!応援していますよ」と力強い励ましのことばをかけてくださいました。
過密スケジュールのなか、私たちのために20分も割いて下さっただけでなく、ユーモアも交えながらにこやかに、しかし力強く激励して下さったことは高校生にとって大きな励みになるだけでなく、これからの活動を支える大切なことばとなるでしょう。内容の濃い20分でした。
また、国連のなかでも軍縮分野を専門とする「UNODA(国連軍縮部)」のオフィスに入ることのできた生徒たちは大興奮!オフィスのあちこちで写真を撮りました。エレベーターに入ると真正面に国連のロゴが。これにも大騒ぎしながら31階のオフィスから地上へと降りました。

4、平和首長会議ユースフォーラム/New York Report 4

4月30日、いよいよ高校生の主張が発表できる日となりました。この日のために、参加生徒は約1か月半かけてプレゼンテーションの準備をしてきました。直前まで原稿の手直しが入ったり、合宿を敢行して特訓を受けたりもしました。自分たちの主張がどこまで伝わるかという不安のなかにも、必ず伝わるはず!という期待とが入り混じった心境を抱え、朝からずっと緊張しながら、プレゼンの時間を迎えました。
会場は国連本部の地下にある会議室で、意外に狭く、聴衆は平和首長会議の参加首長のうち20人ほどだったでしょうか。「ひろしま平和文化センター」の小溝理事長が高校生を紹介してくださり、いよいよプレゼンテーションが始まりました。

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トップバッターは広島女学院。右傾化、排外主義、核武装などを声高に叫ぶ若者が現れる昨今、広島の高校生が署名活動を続ける理由を説明し、被爆者の願いに応えることが広島の若者の責務であると訴えながら、自分たちのその他の活動も紹介しました。
修道高校は、署名活動が持つ力を対人地雷禁止条約やストックホルムアピールを例に説明し、市民の力で核兵器禁止条約を一刻も早く締結すべきと訴えました。
盈進高校は高校生の活動は小さいかもしれないけど、故・森滝一郎氏の「小さいものこそ美しい」という言葉に支えられ、どんな小さな活動でも大きなうねりを生み出すことができると信じて活動をしている、という信念を紹介し、フクシマの被爆者とも連帯する意思を伝えました。

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最後は沖縄尚学高校です。なぜ沖縄で核廃絶の署名活動をするのか。沖縄戦の悲劇を継承し、米軍基地と隣り合わせのところで生活する沖縄 では、常に核兵器配備の恐怖にさらされています。これはヒロシマ・ナガサキが経験した惨状につながるものであり、それを繰り返してはならないという強い信 念のもと、活動をしていると紹介しました。

高校生のプレゼンテーションは首長さんはじめ、その他の参加者にも大きなインパクトを与えました。最初にコメントを発言したアメリカの大学生は、「高校生でここまで考えていて、すばらしい発表で、圧倒されつつも、感動して涙が出そうだった」と言っていました。また、ドイツの方は「教育が本当に必要なことがよくわかった。子供たちにも伝えるにはどうしたらいい?」と質問される場面もありました。
「ひろしま平和文化センター」小溝理事長からも「すばらしいプレゼンテーションだった」とお褒めのことばを頂きました。
4つの高校のプレゼンテーションは根底にあるものは同じですが、それぞれの観点からのアプローチで、似ているようで異なる内容でした。核軍縮に携わる大人たちを唸らせるようなプレゼンテーション。高校生のこれからの活動にますます期待したいと思います。

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3、レセプション(国連日本政府代表部主催)など/
  New York Report 3

29日午後はまず「自治体国際化協会」のNY事務所におじゃましました。明日のプレゼンに備え、練習する場所を提供してくださったり、今回の傍聴にアテンドしてくださったりしています。全国の自治体から広島、松江など12の自治体から職員が派遣されているとのことでした。訪問するとプレゼンできるように部屋が整えてあったり、お水を準備してくださったりなど、日本の「おもてなし」の感じるひと時でした。またプレゼンの練習では質疑応答の練習に協力してくださったり、温かいコメントを頂いたりなど、明日に備えて自信につながる時間となりました。

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29日夜は国連日本政府代表部主催のレセプションに参加しました。岸信夫外務副大臣、アンゲラ・ケイン国連軍縮部上級代表、ローマンモレー第3準備委員会議長、松井広島市長、田上長崎市長、小溝広島平和文化センター理事長など、政府や市の代表の方々の前で、広島女学院高の今井さんが代表で高校生の思いをお伝えするスピーチをしました。とても熱心に聞いてくださり、若い世代への期待感が伝わってきました。
また、レセプションでは、各国の政府の方などに、四苦八苦しながらも英語で単独で積極的に話しかける生徒の姿が頼もしく見えました。

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いよいよ今日28日からNPT再検討会議第3準備委員会が開催されます。あらかじめ傍聴の登録をしていましたが、席を確保するには普通に並ばなくてはいけません。朝7時半に会場に一番乗りしました!NYの朝は気温が10度程度でまだ寒いと感じる朝でしたが、やがて国連本部に各国の国旗が揚がると一様に興奮していました。

10時、ロマン・モレイ議長の開会宣言により会議が始まりました。今日は午前中のみの傍聴でしたが、インドネシア、マーシャル諸島、日本などの外務大臣や副大臣が各国の状況やNPTに対する提言等に関するスピーチをし、それを聞きました。なかでもマーシャル諸島は繰り返し核兵器の実験が実施されてきたところであり、それを体験してきた(そして実際に閃光を見たことがある)外務大臣が「実験を含め、こんな非人道的なものはどのような状況であっても使用されてはならない。また平和利用に関しても近年の様々な事故から安全保障が十分とは言えない」と語り、会場は拍手喝采でした。(他の国のスピーチに対して拍手はありませんでした。)

午後はNYの名門高校であるスタイベサント高校を訪問。日本語を履修している約100人が出迎えてくれました。
広島市長のあいさつに続き、広島女学院の生徒が広島の原爆に関する概要を、沖縄尚学の生徒が沖縄の思いと核兵器廃絶署名活動の意義の関連性をプレゼンテーションで発表しました。スタイベサントは入試の合格率が3%という全米屈指のレベルの高い学校です。「どんな質問が出るのだろう」と訪問前から戦々恐々だった日本人生徒の予測どおり、考えたこともな
いような質問がいくつか出ました。あらゆる角度からの勉強がまだまだ必要と感じたようですが、「私たちも署名活動に協力したい。どうすればいい?」と交流会終了後に申し出る生徒もいて、とても心強く、そして署名活動はこのように支えられていくのだと実感しました。ほとんどの生徒が署名もしてくれました。

スタイベサントでのプレゼンの途中から広島女学院高校の高3・今井さんは市長とともに国連事務総長に会うために中座しました。その様子は『中国新聞』(2014.4.30)一面に掲載されています。
午後の活動はまた別のレポートでお届けします。

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1、Hello, New York!/New York Report 1

本校では2008年より、広島女学院高校、沖縄尚学高等学校とともに「核廃絶!ヒロシマ・中高生による署名キャンペーン」を展開しており、主に街頭署名によって毎年4~5万筆の署名を集めています。この署名は毎年、広島市長を通じて、国連に届けてきました。

これまでの活動が平和首長会議(Mayors for Peace)に評価され、この度、国連NPT(核拡散防止条約)再検討会議第3準備委員会に参加される松井広島市長・小溝広島平和文化センター理事長などに帯同して、高校生8人がニューヨークに派遣されました。本校、広島女学院、沖縄尚学、修道より二人ずつです。この8人は外務省の「ユース非核特使」の委嘱を受けています。

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今回、本校がお世話になっている加藤りつこさんも見送りまでしてくださいました。加藤さんは1995年1月17日、愛息子の貴光さん(当時、神戸大学法学部在籍)を阪神淡路大震災で亡くしました。貴光さんの将来の夢は「国連職員として世界平和に貢献すること」。そのことを聞いていた本校の小川さん、箱田さん、沖縄尚学の與那覇さん、金城さんが、「貴光さんといっしょに国連に」という希望を加藤さんに連絡。加藤さんが大変喜ばれ、遺影を4人に託してくださいました。(この様子は25日(金)18:30から広島テレビで放映されました。)

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27日から開始される会議を国連本部の本会議場で傍聴するほか、国連事務総長や軍縮部の上級代表にお会いしたり、平和首長会議のユースフォーラムでプレゼンテーションをしたり、地元の高校などを訪問して、交流会を持つなどします。なかなか得難い機会を与えられ、参加生徒は緊張しつつも、様々な学びや出会いに大きな期待感も抱いています。
日本時間4月27日(日)は15時間に及ぶフライトの後、夕方、マンハッタンに到着しました。多少疲れていますが、全員元気で、ホテル近くのグランドセントラル駅を見に行ったり、夕食で四苦八苦しながらサンドイッチをオーダーしたりなど、早速刺激的な時間を過ごしました。
4月28日から始まる国連での会議の様子など、お伝えします。今回は広島市が初めて高校生を正式に国連に派遣するということもあり、NHK、広島テレビ、中国新聞、朝日新聞が市長に同行取材をしています。
写真は広島空港での壮行式での写真とホテルに到着したきのもの、また、ホテルの近くにあるニューヨークのシンボル、クライスラービルです。

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